京成上野駅
京成上野駅(けいせいうえのえき)とは、東京都台東区上野における京成族の拠点である。
雑多な人々が交雑する上野にあって、独自の文化を守り伝えている。
京成族の孤塁として編集
京成上野は上野の山下にあり、至近には不忍池がひかえ、エロで有名な大蔵映画やパチ屋が並ぶ一角に面している。JR線や銀座線・日比谷線の上野駅が至近であるにもかかわらず、「京成上野」という駅名を用いる点で、京成電鉄株式会社の自負・プライドが表れており、いささか偏狭な京成イズムを実感することができる。ちなみに、京成上野駅と他の路線の上野駅は地下で接続しているが、その通路はカーブが延々続く坂道であるうえに照明は暗く、なんとはなしに相手を拒絶している空気を察知することができる。
上野は雑多な町である。詳しくは「上野」の項を参照して欲しいが、ありとあらゆる人が集まる「人種の坩堝(るつぼ)」であり、この世界で確固としたアイデンティティを保持することは容易なことではない。集う人種の例としては、チバラギ・東北各県から来たおのぼりさん、客寄せパンダを観に来た連中、ホームレス、アーティスト崩れの大道芸人、キムチおばさん、バイクDQN、ホモ、ジジババ、アメ横のだみ声オヤジなどが挙げられる。
幸か不幸か京成族には、幾たびかの歴史の荒波を耐え忍んだユダヤ人に似た、力強さと強烈なアイデンティティがある。彼らの心には、聖書の詩篇のように一つの歌がいつも鳴り響いている。それは「♪重くよどんだ川の水に 四両の短い影映しながら 今日も走るよ京成線 低い鉄橋のその下には 埋もれたままの悲しみ眠る」というものである。この悲壮を共有した者に限り、京成上野で安らうことが可能である。この京成上野駅こそ、京成族にとってかけがえのない土地であり、誰にも渡すことのできない砦である。なお、最近駅ビルを改造してアトレと化したJR上野駅の利用者には、この悲壮は共有不可能である。
歴史編集
京成電鉄の前身である京成電気軌道は、成田山新勝寺への参詣鉄道として計画されたものである。その成田山新勝寺はもともと、平将門の乱鎮定を目的として建立された寺院であった。それに対し、起点となる東京の地霊は、その平将門である。平将門の怨霊は実に強力であり、戦後首塚を壊そうとしたGHQが、最終的に工事を断念せざるを得なくなったほどである。
このため、京成の東京乗り入れは、それすなわち平将門との戦いを意味する。京成の浅草乗り入れ失敗はこの戦いに敗れたためという。策に窮した京成は、上野公園に目をつけた。上野公園には、東照宮、大仏、稲荷、はては彰義隊など様々な神霊が混在しており、東京の中でも平将門の力が十分に届かない一帯であると考えられた。そこで京成は、その混乱に紛れることを思いついたのである。天皇の威光が非常に強かった戦前において、恩賜公園の地下を掘り返すなどという当時としては暴挙に等しい事業が承認されたのも、平将門の力を抜きにして語ることはできない。
結果として京成の思惑は当たり、東京におけるターミナルとして京成上野を設置することに成功した。
心のともし火・スカイライナー編集
こうした挽歌を奏でるような京成族のメンタリティは、1978年の新東京国際空港(現・成田国際空港)開業とともに大きく変化した。それまでのお世辞にも明るいとはいえない京成電鉄のイメージは、スカイライナーの京成上野 - 成田空港間開業で払拭されることになる。いまだ成田で三里塚闘争を行う新左翼運動は、時代とともに凋落した。代わって、海外からの訪問者を乗せて京成上野にやってくるスカイライナーこそが、京成の新顔となった。京成族は、憧れとも形容できるこのスカイライナーに自分のあるべき理想の姿を重ね合わせ、「心のともし火」を見出したのである。
このようにして、京成族の自慢であるスカイライナーに乗車し、トランクを引っさげてやってくる外国人は、京成上野駅に降り立つと、京成族による盛大な歓迎を受ける。そして京成族のエスコートにより、サイゴーさんの銅像にカメラを向け、じゅらくの偽マリリン・モンローに驚嘆し、上野界隈くまなく存在しているトンカツに舌鼓を打ち、「エキゾチックジャパン」を満喫する。
その結果、京成上野駅周辺では外貨自動両替機が設置されているばかりでなく、いかがわしいカネを取引する外国人の姿も見受けられるようになった。こうした外国人の大量流入で、某国製と判断できる精巧な偽札が、京成上野駅前でも流通していることは問題となっている。このように、京成族がもてはやしてやまない観光客が「光」であるならば、京成族を手玉にとって悪事を行う不法滞在者は「闇」だといえる。
以上から、元来京成族が持つ心の闇が、不法滞在者の心の闇を誘導させているとも説明することが可能である。その意味でスカイライナーがもたらした光は、知らず知らず隠していた京成族の闇を増幅したといえよう。普段は明るい京成族が、ふとしたおりに洩らす悲惨で暗鬱なやるせない顔、それは紛れもなく、本来の自分へと回帰した時の京成族の顔である。京成族の「光と影」、その「影」から逃れることは理論上不可能である。
博物館動物園駅閉鎖の影響編集
スカイライナーの活躍ぶりにも関わらず、残念ながら最近の京成上野周辺は、著しい地盤沈下を起こしている。JR・成田エクスプレスとの競合、そして青砥 - 押上 - 都心方面の列車本数増発、加えて日暮里駅の地位上昇などにより、京成電鉄でも「京成上野派」は弱小集団になりつつある。代わって「青砥派」「日暮里派」が力をつけてきているのが現状である。将来的に京成上野駅は、何も知らないガイジンと、懐古趣味の老人と、鉄道オタクだけのローカル駅へと頽落せざるを得ないのではという指摘も少なくない。
京成上野駅の隣にあった博物館動物園駅の末路が、京成上野の将来を考慮するうえで参考となるであろう。1997年に休業し、2004年に廃止された博物館動物園駅は東京で最もよく知られた廃駅である。現在でも、京成上野を出発してしばらくすると、薄暗がりの中にぼうっと幻のように列車の前に姿を現す駅がそれである。広く流布された都市伝説では、「博物館動物園」駅は「心の清い人」だけが見ることができるという。心の汚い人には見ることは不可能であり、無理をした場合はバチが当たって目が潰れるという話がある。中には、誰もいない構内でぶらり途中下車して、座敷童や貞子を目撃したとの証言もあるという。
また、先にあげた「♪重くよどんだ川の水に 四両の短い影映しながら 今日も走るよ京成線…」の歌を、終わりまで間違いなく歌える者が「心が清い人」であるといわれ、地下トンネルでこの歌を歌うと、それに合わせて闇から輪唱を続ける声が途切れなく聞こえるという。しかし、この声を聞くと列車を脱線させたりする可能性があるので、なじかは知らねど運転手や車掌はこの駅へ接近する際、身体を機器に縛りつけ、耳栓をしたままの姿勢で、必死に廃駅のことを念じつつ、地上線に出るのをひたすら待つのだという。
それはさておき、京成上野が第二の博物館動物園駅になるのではという危惧を、京成族上野派は抱いている。京成上野は今でこそ沈滞気味であるものの、日暮里派や青砥・押上派に負けぬよう、いつかは京成上野の首位奪還を目指して、実力行使の準備をしているとも噂されている。しかし第三者から見れば、京成上野が廃駅になったらなったでそれは愉快なことではないかな、と思うだけである。
関連項目編集
- 京成成田空港線 - 京成上野はこれの末端の地である
- 上野恩賜公園 - 動物園への道程を多数のハトが阻む
- 西郷隆盛 - 西郷どんが見ている
- じゅらく - 長年の戦友
- 京成上野クリニック - 名を冠するほど近いわけでもない
- グリルロータス - かつて構内に存在した遺跡
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